氏 名
伊藤 亮吉(教授)
ITO Ryokichi
担当科目
学 部刑法1、刑法2、基礎演習1、応用演習2、専門演習、卒業研究演習 
大学院公法研究指導1、刑事法1(刑法理論)、刑事法2(刑法判例) 
研究分野
刑法
研究の紹介
刑法理論の中でも、特に目的犯を中心に研究しています。例えば、通貨偽造罪(刑法148条1項)は、行使の目的で通貨を偽造することを犯罪として規定しています。ということは、それ以外の目的(映画撮影の目的や自分の技術を誇る目的など)で通貨を偽造したとしても犯罪として処罰されない、ということを意味します。偽造行為により作成された通貨は同じものなのに、前者が処罰され、後者が処罰されないのは、まさに、この目的の有無にかかっていることになります。そうすると、この目的はどういう性質を有していると考えればよいのでしょうか。また、我々が偽造通貨の存在を知るのは、これが世の中に流通してからです(ですから、実際には通貨偽造だけで処罰されるということはほとんどありません+A1)。偽造通貨行使罪(刑法148条2項)がその処罰規定となります。通常はこの段階で犯罪は既遂として処罰されることになりますが、通貨偽造罪は通常の既遂時期を早めて処罰を認めていることになります。これを処罰の早期化といいます。近年は危険社会(ウルリヒ・ベックの著作参照)ということから、社会不安の要素と相俟って、刑事立法が盛んに行われています。処罰の早期化はその代表例ともいえるものです。刑法は人権保障の見地から謙抑的に機能すべきですが、果たして早期化は許されるべき立法形態なのでしょうか、そして、それはどの程度まで許されるのでしょうか。以上のことを中心に、一貫性のある刑法理論の確立を目標としています。
主要業績
論文「目的犯における目的の違法性加重機能(一)~(四・完)」 法研論集85、86、89、90号 (平成10、11年)
論文「詐欺破産罪の図利加害目的に関する一考察」 刑事法の理論と実践-佐々木史朗先生喜寿祝賀- (平成14年)
学生へのメッセージ
学生時代は長くもあり短くもあります。有意義にすごすこともできれば、無為に終わってしまうこともあります。全ては自分自身のありようです。自己決定、自己実現は講義でもさんざん聞かされる言葉ですが、どこにでも妥当するものです。そういう私はというと、自分の学生時代を振り返ると、反省や後悔することばかりが想い起こされます。しかし、過去を振り返ってばかりでは前に進めませんから、目標に向かって少しでも前進できるようにしたいとおもっています。回顧と展望は刑法の大問題の一つですが、日常の出来事を刑法理論と連動させて捉えてしまうのが刑法中毒者の悪い癖です。また最近では、酒量の激減と腰痛も悩みの種です。健康に気をつかわなければならない年齢にはとうの昔に突入しているわけですが、学生時代からの不摂生な生活はなかなか変えられそうにありません。生きていくうえで悩みはつきものですが、学問の悩み、生活の悩みと、それに煩わされる煩悩の塊です。しかもそれを克服できないことにまた煩わされます。ベートーベンやマーラー、さらには山歩きで束の間でも現実逃避を試みたいところでますが、最近は多忙さゆえにこれさえ儘ならない状況です。このように忙しさに愚痴をこぼしつつも、刑法研究に打ち込める環境は幸せだなあ、と感慨に浸りながら今日もどこかで杯を重ねています。

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