授業紹介

法学部での学びの中核となる法学・政治学の講義は、「部門」と呼ばれる複数の専門領域によって構成されています。

共通部門

①法学入門
法源論、法のヒエラルヒー、法の種類(実定法と手続法、一般法と特別法など)、法とは何かなど(法哲学・法制史的な内容)を学んだうえで、公法、刑事法、私法の入門的な内容を扱います。

②政治学入門
日本を中心とした現代政治に関する基礎的な知識や、政治学の学術的な諸概念の基礎、近代国家発足以降の国際政治の歴史、現在の諸問題、国際機構やその仕組みなど、政治学を学ぶうえでの基礎的な知識を扱います。

③外国語文献講読
法学、政治学など法学部の専門科目に関連した外国語(英語、ドイツ語など)の文献を読むことにより、外国のみならず日本の法学、政治学などについての理解を深めるための科目です。具体的にどのような分野の文献を読むかは、担当教員により異なります。

④特設科目
専門教育科目の各科目は、法学部における伝統的な専門科目としてそれぞれ独自の分野を形成しており、各分野の内容を体系的に講義していきますが、現代の社会における法的・政治的な現象の中には、伝統的な専門科目の枠を越えた複合的な視点で検討を行う必要があるものもあります。特設科目では、現代の社会における特定のテーマについて複合的な視点で講義を行うことにより、受講生の幅広い知的関心に対応できるようにしています。

公法部門

現代における国家活動は我々の様々な生活場面に及んでおり、その法的考察の重要性はいうまでもないことです。このことを踏まえて、公法部門では、現代国家の根幹となる統治システム、人権および現代行政の諸原理の把握を目標として講義をしていきます。

公法部門は、憲法学と行政法学を柱として、それらを取り巻く学問領域から構成されています。

具体的に開設される授業科目は、憲法では人権論(憲法Ⅰ)、統治機構論(憲法Ⅱ)などであり、行政法では、行政作用論(行政法Ⅰ)、行政救済論(行政法Ⅱ)、行政組織論(行政法Ⅲ)が中心になります。

刑事法部門

私たちは社会のルールに従って生活しなければなりません。電車でお年寄りに席を譲るべきなのも、禁煙区域でタバコを吸ってはいけないのも、人を殺してはいけないのも、広い意味では全てルールです。

しかし、私たちが全てのルールに目的なく縛られるようでは、社会生活に支障を来しかねません。ル一ルは私たちが社会生活を円滑に送るための手段であって、ル一ルを遵守することが目的となってはならないのです。刑事法学は、このような数あるルールのうち、犯罪という特に重いル一ル違反の場合「だけ」を扱う法領域です。主に刑法学、刑事訴訟法学、刑事政策学という3つの学問分野から成立しています。刑法学は、犯罪と刑罰について、全てに妥当する原理原則を理論的に考察するとともに、個々の犯罪の内容を明らかにするものです。刑事訴訟法学は、被疑者・被告人め権利を保障しつつ、適正・迅速に刑罰法令を適用・実現をするための手続のありかたを検討します。刑事政策学は、犯罪の原因を究明し、効果的な犯罪防止のための制度の確立を目指していきます。

他方で、刑事法学の対象領域はこれにとどまるものではありません。経済分野や環境分野の刑法に特化した経済刑法や環境刑法、少年の裁判手続(審判手続)を定めた少年法、最近では被害者の問題を扱う被害者学などが盛んに議論されています。

一見親しみやすそうに思われがちな学問ですが、犯罪を行った者は最終的には刑罰という苛酷な制裁を科せられることになりますから、その範囲・適用はより慎重でなければなりません。このような考えから、刑事法学は、どの学問分野も、学説とその検討対象となる(公的判断としての)判例が多岐多彩にわたるとともに、非常に精緻な理論体系が構築されています。

そのため、講義は、簡潔で明瞭に進めていきたいと思っています。

民事法部門

私たちは、生まれると同時に、物の購入や売却、お金や物の貸し借り、交通事故や医療ミス、欠陥製品などの加害者に対する損害賠償請求、結婚・離婚や親子の関係、人の死亡によって始まる相続や遺言による財産の承継・取得など、財産・取引・家族などをめぐる様々な関係やトラブルに接しながら生活することになります。民事法は、人が生まれてから死ぬまでの日常生活全般を、権利・義務という概念をキーワードに再構成して規律し、トラブルを解決するための法領域です。

権利を実現する(義務を履行させる)ためには、まず権利や義務が本当に存在するのか、するとして、その内容はどのようなものかを確定する必要があります。そのためのルールを定める最も基本的・一般的な法律が民法です。民法がカバーする範囲は非常に広大ですから、カリキュラムでは民法Ⅰから民法Ⅴまでの5科目に分かれています。

トラブルを最終的に解決する役目を担うのは裁判所ですが、裁判をするとなると、権利の存否の判断基準を定める法律だけでは十分ではありません。本当に契約が結ばれたのかどうかとか、加害者に落ち度があったのかどうかなどを明らかにする作業が必要です。そこで、その作業をどのように進めるか(裁判の進め方)について基準を与える法律も必要となります。これを定めるのが民事訴訟法です。さらに、民事訴訟法の手続にしたがって権利の存在が認められ、相手(被告)に義務の履行が命じられても、相手が自発的に実行しないこともあります。このような場合、いくら権利があるからといって、自分で実力行使して無理矢理に権利を実現する(たとえば、相手の家に押し入って目的物を奪い取る)ことは法治国家では許されません。権利実現のための実力行使は国が独占しており、裁判所による強制執行という制度を利用しなければなりません。そのための手続の進め方を定める法律も必要で、これが民事執行法です。

このように、民事法部門では、法律関係の存否・内容を定める法(実体法)の基礎である民法と、法律関係の内容を実現するための手段や手続を定める法(手続法)の代表である民事訴訟法・民事執行法を中心として、私人間の権利・義務を規律する法体系を学んでいきます。

会社法・社会法部門

企業・社会法部門に設置される科目群は、企業法(商事法)関係、社会法関係、経済法関係に大別されます。 企業法(Ⅰ~Ⅳ)は、企業の組織・活動に関する法領域であり、社会法は、労働法や社会保障法の領域、経済法は独占禁止法を主軸とする領域です。

企業法においては、資本主義体制の担い手たる企業の原則的解明、株式会社等の会社が営む企業の組織、企業活動の決裁手段たる手形等の有価証券、保険・銀行等の企業金融、特許権・著作権等の知的財産権について講義していきます。

社会法は、個人主義的な近代市民法の思想や法原理を、社会的人間というとらえかたによって修正を加えるものであり、実定法の公法・私法に対する第三領域として、主に労働法や社会保障法の問題を対象とします。労働法の役割は、グローバル化や雇用環境の変化によって変容を迫られていることも確かですが、人間らしい労働を基礎とする労働法の本質的な存在根拠は、むしろ重要性を増しているといえるでしょう。これらを念頭に、過労死、雇用平等、同一労働同一賃金、ブラック企業、追い出し部屋など、現代的な個別課題についても考察します。社会保障法の重要性も、少子高齢化に伴う年金・医療問題など、徐々に高まっています。

社会における商品の提供は企業が市場を通じて行っていますが、この市場の機能が阻害されると商品の提供が円滑に行われず消費者の利益が損なわれることになります。この市場の機能を維持するための法律が独占禁止法を中心とする経済法です。

政治学部門

「私たちが政治から逃避しようとしても政治の方が私たちを捉えて放さない」という言葉がありますが、その傾向は、いわゆる政治化現象の一般化、各国との相互依存関係の深化といった現象により、近年益々強まっております。そのことは私たちが政治について関心をもつだけでなく、政治について学習することも必要であることを示していると言ってよいでしょう。 政治学部門にはこうした言わば時代の要請に応えるために、基本的政治原理や政治理論は言うまでもなく、古い時代から今日に至る政治思想や政治史、さらには日本を含む世界の国々の政治過程や行政、および国際政治等、幅広く政治の学習が行えるよう多くの科目が設置されています。今日の内外の政治の動向には多くの人が関心をもっていると思いますが、政治学部門における学習によってそれを解明する糸口を少しでも見つけてもらえたらと期待しています。

国際法部門

国際法部門では、人や物の国境を越えた交流がなされる今日の「国際化」を前提として理解を深めていきます。このような時代に生きる我々は、他国を無視して勝手な行動をとることが出来なくなってきています。世界には個人または国家を問わず、このような国際化を推進するために必要な基本的行動の様式が存在します。我々はそれを「国際法」と呼んでいるのです。

国際法は、大きく分けて「国際慣習法」および「条約」として存在し、それぞれの対象を規律し、調整しています。講義においては、こうした基本的な知識を学習したうえで、国際化に向けて不可欠である具体的な事象の理解を深めていくことになります。その対象として、国際社会における人権保障や、国際社会の組織化等が考えられるでしょう。また、国際紛争の解決手続きや、自然環境保護に関する国際社会の取り組みなども重要な問題として検討していきます。

基礎法学部門

基礎法学関係部門は文字通り法律学における基礎的な問題について研究し学ぶことを目ざした部門であり、その内容は歴史学的考察から、社会学的、哲学的、思想史的考察等々まで多岐におよびます。また、歴史学的考察の場合には、さらに日本法制史、東洋法制史、西洋法制史というように研究領域が分かれます。いずれにしても、この部門は、法律学全般にわたる諸問題について多様な観点から研究することを目ざした重要な部門であると言えます。