創立60周年記念講演会

 去る11月28日(日)、名古屋観光ホテルにて、名城大学法学部創立60周年記念講演会を実施しました。
 「地域主権改革とローカル・ルール」とのタイトルで、中央大学法学部・大学院公共政策研究科教授の礒崎初仁教授より基調講演が行われました。礒崎教授からは、地方分権がなぜ必要なのか、それを推進するには何が必要なのかという問題提起がなされ、1990 年代から本格化してきた地方分権改革の内容やその問題点が指摘されました。その上で、地方分権、さらには地域主権を推進し、根付かせるために、地域の住民が独自にルールをつくるプロセス、つまりローカル・ルールの重要性が提言されました。
 これに引き続いてシンポジウムが行われました。
コメンテーターは、礒崎教授に加えて、昇秀樹教授(名城大学都市情報学部)、安本典夫教授(名城大学法学部)、コーディネーターは、伊川正樹准教授(名城大学法学部)が務めました。
 シンポジウムでは、コメンテーターから、第1期地方分権改革と呼ばれる90年代後半から約10年間の改革の評価や地域主権改革の新たな意義などについてコメントがありました。それを受けて、ローカル・ルールに関して、法律が定める内容について条例でそれを変更することができるかという、いわゆる条例の「上書き権」の可能性について議論が及びました。
 会場からは、条例の上書き権と上乗せ条例との関係や、ローカル・ルールの制定にあたり世論の関心をどのようにして喚起していくか、などといった質問が出され、コメンテーターとの間で意見交換が行われました。
 「地域のことは地域で決める」という自治の基本理念のあり方が問われている昨今の状況において、タイムリーな話題であると同時に、これからの地方自治を考える上で大変有益な講演会となりました。
また、60周年を迎えた法学部にとっても、自治の精神を改めて見つめなおすきっかけともなりました。
 なお、講演会に引き続き、学内関係者や国内外の交流協定校からのゲストを招き、記念式典が催されました。