11月11日(月)と12日(火)の刑法1の授業において、法務研究科から、伊藤新一郎教授(元裁判官)と立岡亘教授(弁護士)をお招きして、講演会を実施しました。

伊藤新一郎先生・立岡亘先生

 犯人が被害者のハンドバッグをひったくろうとしたところ、被害者の抵抗にあったために、再度バッグを力任せにひっぱって、被害者にケガをさせてしまったという、現実にもよく現れるであろう事案をもとに、窃盗と強盗のいずれの犯罪が成立するだろうかという点を中心に話しは進められました。

 講演の対象は主として、まだ刑法各論を勉強していない1年生であったため、学生には難しい内容ではありましたが、途中アンケートをとりつつ、窃盗と強盗の違いについて2人の先生が丁寧に説明してくださいました。

 判例でも今回出された事案に類似の事案がありますが、両者の異同についての説明があり、類似の事案がすべて一様に解決されるものではないという指摘もありました。

質問風景

 質問の時間では、犯人にも酌むべき事情があるが、これは量刑にどう反映されるのかなど、事案に関するもののほか、2人の先生の意見に反対する見解を毅然と表明したり、法曹に向いた性格とはどういうものかなど質問は多岐にわたり、どれも先生に丁寧に回答していただきました。

 事実を正確に見て、異同を考えることでしっかりとした判断をすることができる、「飛び乗り飛び降り自由」と自分の意見に固執することなく、意見変更することは恥ずかしいことではなく、むしろ進歩であるなど、長年実務家として活躍された先生ならではの深いお話しもしていただきました。

 多くの学生にとっては、普段の講義では聞くことのできない実務の世界を少しでも垣間見ることができ、有意義な講演会となったとおもわれます。