法学会講演会

 7月11日(水)、高麗大学法学専門大学院から申昌燮教をお招きして、法学会講演会を開催します。テーマは、「国際取引とその規律」。法学部・法学研究科の学生・院生なら、どなたでも参加できます。関心のある方は、直接会場までおいでください。

 【日 時】 7月11日(水) 13:10~14:40
 【場 所】 10号館2階 第1大会議室
 【演 題】 韓国における仲裁(ADR)
 【講 師】 申 昌燮 教授 (高麗大学法学専門大学院)
 
 国際取引において最も中心的な地位を占めるのは、国際物品売買である。どのような国際取引においてもそうであるが、国際物品売買も互いに他の国家に所在地を有する当事者間、すなわち売渡人と買受人間に生じる取引である。多くの場合、国際物品取引のための契約の具体的な内容は当事者間の合意によって定められる。実際に第三者に説明する定型取引条件は、国際物品売買契約においてとても重要な役割を果たしており、使用される特定の定型取引条件により売渡人と買受人の権利・義務内容が詳細に確定する。それにもかかわらず、物品売買と関連するすべての事項を契約に明示的に規定しようとしても、現実的には非常に困難である。このように、事前の合意がされえなかった部分に関しては問題の国際取引売買を規律する法が適用されなければならないところ、この場合に適用される法は、一般的に当事者間の合意、または国際私法の規定により指定される準拠法国家の国内法を意味するものである。
 
 国際物品売買を規律する準拠法と関連して問題となることは、国際物品売買に関する法が国家ごとに互いに異なり、そのうえ同じ法律用語が使われている場合であってもその用語の具体的意味についてはそれぞれ異なる解釈をしているようである、という点である。結局、同一の内容の国際物品売買であるにもかかわらず、どの国家の法が準拠法となるかによって取引の当事者の権利・義務の内容が異なることがありうるところ、これは国際物品売買の当事者となろうとして作成する売買契約から、自らの権利・義務の具体的な内容を予測することを難しくし、このような不確実性は国際物品売買を円滑に進める妨げとなる結果をもたらす。

 国際取引を規定する統一的な規範があれば、国際物品売買に存在するこのような不合理性を向上させることができ、これは、結果として国際物品売買取引の増進に役立つことになる。