交流協定校であるハワイ大学ロースクールから講師を招き、「アメリカ法セミナー」と銘打って講演会を実施しました。ハワイ大学ロースクールとの国際交流協定は今年で19年目を迎え、毎年異なる講師を派遣してもらい、アメリカ法に関するトピックスを取り上げて講演を行っていただいています。
 


アメリカ法セミナー1

 今年度招へいしたのは、ウィリアムソン・チャン(Williamson Chang)教授。ハワイ大学ロースクールでは、国際法や商法、経済取引法など多岐にわたって講義を担当されていますが、専門の研究テーマはハワイ法で、ハワイ先住民の権利保護に関する論文等も多数執筆されています。

 今回のセミナーでは、6月5日に「アメリカ国外におけるアメリカ合衆国憲法の適用」というテーマで、アメリカ国籍のアメリカ人が外国で犯罪行為を行った場合、アメリカ合衆国憲法が適用されるのかという裁判例を中心とする講演をしていただきました。その中で、アメリカ合衆国という国の成り立ちや連邦政府と州政府との憲法上の位置づけなどの概略的な説明が行われ、90人ほどの参加者にとって、アメリカの法ないし政治制度の特徴である「連邦制」について学ぶことができる内容でした。
 
アメリカ法セミナー4

 続く6月6日の講演では、「ハワイの歴史、マウナ・ケアと30メートル望遠鏡」というタイトルで約3時間にわたってお話を頂きました。ハワイ島にあるハワイ先住民族にとっては聖地というべきマウナ・ケア(山)に国際コンソーシアムが巨大な天体望遠鏡を設置しようという動きがあるという事例が紹介され、科学的関心と民族的自尊心との衝突という問題をはらんでいるとの紹介がありました。この問題はさらに、アメリカによるハワイ併合が適法な手続に基づいたものではないことから、今日でもアメリカ合衆国とハワイとの法的関係につながる可能性があるとの指摘がありました。講演の中では、ハワイの置かれている状況と沖縄とを対比してさまざまな類似点があり、認識を共有することができるのではないかとの問題提起がありました。土曜日にもかかわらず参加した約30人の学生たちにとって、新たな事実と発見を得る機会となったようです。