2010年11月に「多文化共生」の国際比較研究会の国際シンポジウムを開催した。「イギリスと日本において草の根からみる、多文化主義と結合のあり方」をテーマに、イギリスから(大和日英基金で来日した)5人の報告者を本学に招いた。日本側も5人の討論者を立て、活発な議論を、朝から夕方(そして夜の懇親会)まで行った。
 この研究会は、国際比較を通じて、各国が置かれた状況の異同や、各国の外国人受け入れの多様性にも留意しながら、日本の多文化共生社会のあり方に有益な研究成果を得ることを目指している。今回は、イギリスの「コミュニティ間の結合」と日本の「多文化共生」といった最近の自治体の政策や、グラスルーツの取り組みを検討した。多様性の増すイギリス社会にあっては、「結合」という政策理念を掲げる必要がある一方、同質的な伝統が強い日本社会においては、「多文化」という政策理念を掲げる必要がある点など、両国の状況の違いも明らかになった。名城大学の教員・院生・学部生にかぎらず、近隣の大学の教員・院生、遠くは東北大学からの参加もあり、愛知県や名古屋市をはじめ地元の自治体の多文化共生担当の職員やNGO関係者も多く参加した。翌日は、豊田市の国際交流協会、ブラジル学校、保見団地などを視察した。

日時:2010年11月22月(月) 10時~18時 
場所:名城大学10号館2階 大会議室
 
第1セッション:結合と共生のアプローチの比較
ハリス・ベイダー(コベントリー大学教授)
近藤 敦(名城大学教授)
 
第2セッション:多文化主義についての草の根からの視点
ヘザー・パーカー(フォレス・ヒルフィールズ)&ファティマ・マンジェラ(フォレス・ヒルフィールズ)
土井佳彦(多文化共生リソースセンター東海)&石原バージ (フィリピン人移住者センター)
 
第3セッション:
クスミンダー・チャハール(オープンユニバーシティ)
山本ルシア(静岡大学准教授)
 
第4セッション:
アン・ハロップ(アガカーン財団)
甲村洋子(愛知県地域国際部多文化共生推進室)