10月29日(土)、法学部の榎本雅記准教授(刑事訴訟法)による公開講座(名城カレッジシリーズ)が開かれました。
テーマは、『「裁判員法」施行2年半の動向と展望』。
司法制度改革の目玉の一つとして賛否両論のなか2009年にスタートした裁判員制度も、すでに2年半が経過し、様々なデータが集まるとともに、いくつかの問題点も浮かび上がっています。
講座は、まず刑事手続の大まかな流れや裁判員制度の導入経緯・制度趣旨といった基本的な事項のレクチャーに始まり、激しく戦わされた賛成派・反対派それぞれの論拠や、これまでの運用のなかで集積されたデータ・世論調査などが分かりやすく紹介・解説されました。
裁判員制度は、施行3年目にあたる来年、検証が予定されています。そこで、講座の後半では、控訴審のあり方や対象犯罪の範囲の妥当性、特定の犯罪類型でみられる重罰傾向の評価など、検証作業の中で論点になるであろうポイントが提示され、刑事手続の専門家の眼からみた今後の展望が語られました。
質疑コーナーでは、裁判員制度の合憲性をめぐって来月中旬に予定されている最高裁の判決が、もしも裁判員制度を違憲とするものであったらこれまでの裁判員裁判の効力はどうなるのか、といった興味深い質問がなされました。