7月23日、本年3月に法学会選書を出版された肥田進名城大学名誉教授による出版報告会が開催されました(成文堂『集団的自衛権とその適用問題』)。

 報告会ではまず、肥田先生から著書の内容についての報告がありました。本書は、国連創設時の国連憲章51条の制定過程について特に適用対象に関心をもって明らかにした分析と、それにかかわったダレスの外交姿勢に影響を与えた要因について彼個人のパーソナリティに焦点を当てた分析の2つの分析を主なテーマとしています。特に前者では様々な条約の共同防衛条項を分析し、2(3)国間同盟と地域機構では条項の根拠が異なっていることが明らかにされました。
 

肥田進 名誉教授

 引き続き、現在法学部で国際政治学を担当している矢嶋光助教による討論が行われました。矢嶋先生からはまず同書の学術上の意義について言及があったのち、集団的自衛権概念の形成史から見た本書の位置付けやこの概念の歴史的背景などについてのコメントがありました。また、ダレス研究における本書の位置付けやダレス自身の外交姿勢の変化についての議論が提起されました。
 
矢島光 助教

 その後フロアからも質疑応答をおこないました。報告会は予定の時間を超過するほどの白熱したものとなりました。