8月20日(月)から23日(木)にかけて、韓国・高麗大学校から河明鎬(ハ・ミョンホ)法学専門大学院教授をお招きして、「韓国の行政訴訟制度」をテーマとした夏季集中講義を行いました。
韓国の行政訴訟制度は、朝鮮戦争のさなかである1951年に制定され、1984年、1994年に改正されて現在に至っています。河先生は、行政訴訟法の制定以前、韓国が日本の植民地であったことから、大日本帝国憲法下の日本の行政争訟制度、および1948年に制定された日本の行政訴訟特例法が制定当初の韓国行政訴訟法に与えた影響を丁寧に比較しながら講義されました。
韓国の行政訴訟制度が日本のそれと大きく変わったのは1988年に憲法裁判所が設置されたことと、1994年の行政訴訟法改正により行政訴訟の第1審として行政法院が設置されたことによります。河先生は、それまで日本と同じく一元的司法制度をとってきたことのメリットとデメリット、現行の司法制度(憲法裁判所と一般裁判所が併存している状態)のメリットとデメリットを比較しつつ、環境訴訟などの現代型訴訟にいかに対応すべきかを熱心に講義してくださいました。
講義時間の都合上、講義中に質疑応答をする時間は十分にとれませんでしたが、毎回の講義後に学生たちが提出する質問に対しても翌日の講義前には丁寧な返答があり、短い時間ではありましたが、学生たちが韓国と日本の歴史的経緯と今後を考えていく素晴らしい契機になったのではないかと思われます。