名城大学国際化推進センターの支援を得て10月22日におこなわれた
「日中韓政治学セミナーⅠ」に引き続き、12月19日に「日中韓政治学セミナーⅡ」が開催されました。
講演者は復旦大学(中国)の魏全平副教授と、本学と交流協定を締結している慶煕大学(韓国)の宋景宰教授でした。魏先生には「最近の中日経済関係の特徴」、宋先生には「日米韓のインターネット選挙法と政治参加」というテーマで、それぞれ約60分間、講演をしていただきました。
魏先生は、FTAをめぐる近年の日中韓の動向を押さえつつ、それぞれの国がFTAに熱心である理由、あるいはあまり熱心ではない理由について、詳しく説明を加えてくださいました。とかく私たちは三国間の政治的なやりとりばかりに目を向けがちですが、FTAをめぐっては、統計からは簡単に看取することのできない貿易の実態や関税の動向などが大きく作用しているという指摘は非常に興味深いものでした。
宋先生は、選挙においてインターネットを利用することの日米韓における温度差を、法的な議論も交えながら説明してくださいました。インターネットには、自らの立場を広く伝えることができるというメリットがある一方、流言飛語が拡散されやすいというデメリットもあります。これをどう捉えるかで日米韓に大きな開きがあり、宋先生によると現在は、ほとんど規制を加えないアメリカ、規制が厳しい日本、実名を明示することを条件として比較的規制が緩やかである韓国という状況になっているということでした。日本においてもネット選挙の利点と弊害がさまざまに論じられていますが、こうした比較は有益な示唆を私たちに与えてくれるでしょう。
聴講者は20名弱でしたが、時にはうなずきながら、また時にはメモをとりつつ、講演に耳を傾ける姿があちこちで見られました。今後も機会があればぜひ、このような企画を執りおこないたいと考えています。学生の皆さんにとっても、よい刺激になることでしょう。
昨年11月29日、「身近な環境問題を法律から理解する」をテーマとして公開講座を開催しました。
講座は2部構成で、第1部では「日本の様々な法と環境問題」と題して、北見宏介准教授が講演をおこないました。講演では、日本における環境問題はまず「公害」の問題から出発してその後「環境」を扱うようになったという歴史が示されました。そして、問題の性質上、裁判によって解決することの難しさについて説明されました。
続く第2部では「身近な環境問題を法律から理解する:国際的な環境問題と法」と題して、佐藤文彦教授が講演をおこないました。国際関係においては国内のように統括する機関がないことが前提としてあり、そのために個別問題ごとに関係各国が話し合いをし、ルール作りをしていくという必要があること、そこに国際的な環境問題の難しさがあることが示されました。いくつかの事例を交えながらの分かりやすい説明に、聴講者も熱心に耳を傾けていました。