2月6日(木)、矢嶋光准教授(国際政治学)が法学会出版助成を受けて出版された、『芦田均と日本外交:連盟外交から日米同盟へ』(吉川弘文館)の出版報告会を開催しました。
報告会ではまず、矢嶋准教授から芦田均の人となりが写真を使って紹介され、引き続き同書の内容についての報告がありました。戦後、再軍備論を主張した芦田は先行研究ではリアリストとして位置づけられています。それに対して矢嶋准教授は、戦前、国際連盟成立から始まった理想主義的な「新外交」に芦田が強い影響を受けている点に着目し、新たな芦田均像の提示と戦後日本外交における再軍備論の整理を試みました。そして戦後の芦田の再軍備論はリアリズムに基づく自主防衛論者のそれではなく、国際連合憲章と日本国憲法との整合性という観点から現れたものであると論じました。最終的に芦田の再軍備論は米ソ冷戦による国連の機能不全という現実を前に日米同盟への傾斜という道を辿ったという議論がなされました。
その後、フロアからの質疑応答と議論が行われました。政治学、歴史学、憲法学といった多様な分野からの観点も交えた活発な質疑応答でした。