薬局の開設に許可が必要であるとしても、さらに距離制限まで設ける必要があるのかが問題とされ、昭和50年の最高裁判決は、薬局に関する距離制限は憲法違反だと判断しました。
もともと距離制限が課されていた理由は、薬局が乱立すると過当競争によって経営が不安定になり、その結果、特定の地域では薬局がなくなってしまう可能性がある、という懸念からでした。
しかし、最高裁は、不良医薬品の流通を防ぐために薬局の開設に許可を必要とすることには合理性を認めたものの、距離制限はその “目的” を達成するために必要な “手段” とはいえないと判断しました。つまり、最高裁は、「目的を達成するための手段として必要といえるか」という判断を行ったわけです。
自由に対する制限の “目的” が正当であっても、それを達成する “手段” として適切かどうかという考え方は、法律の問題だけでなく、あなたの身の回りの問題を考える上でも重要な視点です。