法学部の「租税法」の授業で、女子学生にだけ平常点に10点プラスして評価する。

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法律の専門科目の一つである「租税法」の授業では、男女を問わず「学生」という立場は同じですね。性別を理由として差を設けることは、憲法14条1項に反すると考えられます。

法学部の「生涯体育」の授業で、男女を問わず、シャトルランの結果で成績評価をする。

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法学部の1年次に履修する「生涯体育」では、生涯健康であり続けるための基礎作りを大きな目的とした体育の授業を行っています。ここでは「学生」という立場は同じでも、男女の間には体力差があるのが一般的です。そのため、ここで男女を同一に扱って成績評価をすることはむしろ不平等と考えられます。

憲法14条1項の下での「法の下の平等」とはどのような状況を指すのでしょうか。①全員同じように扱うこと、②違った扱いをしてもよい、という考え方を参考にして考えてみよう。

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1と2の問題から、「法の下の平等」とは、①全員同じように扱うこと、②違った扱いをしてもよいという考え方の両方が該当すると言えそうです。では、どちらが正しいのでしょうか?「どちらも正しい」というのが答えですが、より正確に言えば、考え方を使い分ける場面によって、どちらかの考え方が妥当となる、ということになります。

①の考え方は、「同じ立場であれば、同じように扱うのが平等」という考え方で、絶対的平等または機会の平等といわれる考え方です。

②の考え方は、「立場が異なれば、異なった扱いをすることによって平等を実現する」という考え方で、相対的平等または結果の平等といわれる考え方です。

どちらの考え方も平等の考え方としてあり得るものですが、使い分ける場面を考える必要があります。そのため、機械的に物事をとらえるのではなく、具体的な場面に応じて考えることが重要になります。

東海地方にある国立大学法人P大学は、一般入学試験において、女子の受験生を優遇する枠を設けている。

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「受験生」という立場は、性別を問わず同じです。そうであれば、①絶対的平等(機会の平等)の立場に立って考えると、女子の受験生だけ優遇することは、法の下の平等に違反することになります。

一方、P大学にとって、女子の受験生を優遇するためのもっともな理由があれば、②相対的平等(結果の平等)の立場から、こうした優遇措置は許されることになります。では、「女子の受験生を優遇するためのもっともな理由」とはどのようなものが考えられるでしょうか?学生の女子の比率を高めることが、大学の教育の目的に合致するとか、社会的要請があることを説明できれば、不平等とはいえないことになります。

東海地方にある国立大学法人P大学は、全学部の一般入学試験において、関東地方出身の受験生を優遇する枠を設けている。

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「法の下の平等」は憲法14条1項に定められています。4の問題では、女子だけを優遇することは「性別による差別」に当たる可能性がありますが、5の問題では出身地が問題になっています。

出身地を理由として優遇することは、差別のように思われますが、「出身地」は、憲法14条1項のどの事項に当たるのでしょうか。「社会的身分」や「門地」って具体的に何のことでしょうか。

「何となく」ということは理由になりません。「何となく犯人みたいだから有罪」なんて裁判があったら困りますよね。きちんと根拠をもって説明できるようになることは、法学部で学ぶ目的の一つです。そのような力を身に付けると、さまざまな場面で活躍することができます。

この問題は、①絶対的平等(機会の平等)の立場からは、一般学力試験は試験の成績という学力のみで合否を判断すべきであるので、出身地を理由とした優遇措置は不平等と考えることになります。また、憲法14条1項の事項には直接的には当たりませんが、そこに掲げられている事項は「自分の努力では変えられないもの」ですので、「出身地」もこれに当たるという解釈をすることができそうです。

一方、②相対的平等(結果の平等)の立場から考えると、学力だけでなく、多様な価値観をもった学生同士が学び合うことが大学の学びにとって重要であるため、そのような環境をつくるためにこのような措置は必要と考えることになるでしょう。